【本】知的好奇心が爆発する本
こんばんは!
素晴らしい本に出会えた興奮をここに書きたいと思います(^^)
【サピエンス全史 上】
タイトルにあるように、知的好奇心が爆発します。
学校で、なんとなく習ったような、人類史・世界史に血が通います。
こうなって、ああなって、だから今こうなんだ、とストーリーで入ります。かつユーモアがあるので読みやすい。歴史書だと身構えなくても、面白いのでどんどん進みます。
本の内容は、ホモサピエンス史、
つまり私たちの歴史書です。
7万年前まで、とりわけ強みもなく、いち動物の一種としてほそぼそ暮らしていたホモサピエンスが、何がどうなって、他の人類種を絶滅させ、地球を支配するまでになったのか。
これを聞いただけで、
たしかに・・なんで?!?とワクワクしますよね。
脳が大きかったからじゃないの?なんて言う人も居るかもしれませんが、それだけじゃないんです。詳しくストーリーで語れる人はそう多くはないですよね。
それがかなり分かりやすく書いてあります。
ただ!!
この本の素晴らしさは実はそこが一番ではないと思います。
そこでこの本の副題に注目です。
【文明の構造と人類の幸福】
・・・
文明の構造 と【人類の幸福】。
これこそ、この本が読者に問いかけている、
最も重大なテーマです。
先ほど触れたように、
人類は取るに足らないただのいち動物だったはずが、7万年前から、突如変化を起こします。
それからも様々な発明や革命を起こし、人間は現在の地位をゲットしました。
それらの変化は、人類「全体」にとっては
素晴らしい変化です。
しかし、「個々」の人類一人一人にとっては、必ずしもそうではなかった。
ここです。
ちょうど会社の成功が、従業員の幸福度ではなく、銀行の預金金額ではかられるように。と本文にはあります。
これまでの多くの歴史書で、
そこに登場する彼らの幸福度に言及しているものはあったでしょうか。
そこについて考えてこなかった歴史への勉強不足、理解不足、教育不足、が最大の問題だと言っている気がしてなりませんでした。もうハッとしましたね。
今後も人類は、様々な発明や革命を起こしていきます。まさに人工知能がそうですよね。
じゃあ、それによって自分たちの幸福度は?世間の幸福度は?少し怖いことも書いてあります。ついにホモサピエンスが終わる時がくるかも、、?
社会が豊かになろうが、自分の幸福度をよく考えなければ、自分や社会の幸福度は上がらない。
自分たちがどうなりたいのか、今まさにそれが問われる時である。ただの時系列の歴史書ではなく、そう著者は訴えているのではないでしょうか。
まあ、そこまで肩肘張らずに
(張らせたのは私?!笑)
ただただ面白いので、ぜひ!
※※※
ここからは自分用のメモで
ネタバレになっちゃうので
読みたくない方は★マーク以下は読まないでください!※※※
★★★
15万年前、それ以前のものからどう進化したかは不明ということだが、
東アフリカに今の私たちとそっくりのサピエンスが暮らしていたことは判明済み
↓
それから8万年間はこれといった強みも持たずいち動物だった
↓
しかし、7万年前から他の人類種を絶滅に追い込みはじめた。
非常に特殊なことをし始めたからだ。
それは「新しい思考」と「意思疎通」だ。
具体的には、「噂話」である。
冗談に思えるが、噂話は集団をより大きく、かつ緊密な協力関係を築くのに役立った。
誰が信頼できるか、あそことあそこは仲が良い悪い、あの人は確かな情報を持っている、
これはこの人に聞こう、そんな感じではないだろうか。
※ちなみになぜこの特殊な行動をホモサピエンスが突如するようになったのかは、DNAの突然変異なのかということではっきりと分かっていないらしい。
↓
噂話で大きくなれる集団にも限界値がある。
約150人が限界だということが実験にあるそう。
それ以下であれば、互いに親密に知り合い噂話をする関係で組織を維持できる。
↓
じゃあどうやってそれから何万人もの都市や何億人もの人からなる帝国を築けたの?
↓
【虚構】の登場
つまり共通の【神話】を持つことで互いに知らなくともまとまりを持った。
この例には、もちろん宗教や国家の例だけではなく、
自動車メーカー「プジョー」を例に、有限責任会社の説明で現代も虚構で動いていることの例がある。
有限会社は人類による独創的発明のうちでも指折りだ、とある。
なぜなら、会社そのものが物体として存在しているわけではなく、かつそれを起こしたりそれ投資したり経営している人からも独立している。
つまり、私たちの想像の中にのみ存在している。
これを信じさせる仕組み(?)のおかげで、無数の見知らぬ人が協力し、共通の目的のために精を出す。
私たちとチンパンジーとの真の違いは、他者同士を結び付ける接着剤【神話】だ。
↓
こうしてホモサピエンスは、強くなり、あらゆる生物のうちで最も多くの動植物を絶滅に追い込んできた。
(それを最近まで唯一免れてきた海洋動物までも、今日私たちは汚染などで消そうとしている。)
↓
人々は利口になり、その日暮らしの狩猟採集民族を捨て、安定を求め農耕民の暮らしにシフトしていく。【農業革命】
↓
農業革命は、人類の進化にとっては繁栄を。
個々の人間にとっては悲劇をもたらす。
(働きずめになり畑や作物に逆に縛られ振り回されることになる)
(ちょうど今日の企業の成功が、従業員の幸福より銀行の預金金額ではかられるように。)
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ではなぜ途中で引き返せなかったのか?
↓
・もうその時には前の狩猟採集民族に戻るには遅すぎたから。その時代を知る人は残っていなかった。
・自らの決定がもたらす結果の全貌をとらえきれなかったから。
→一生懸命働けば前より良い暮らしができる→その分様々な弊害も生まれる
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革命の犠牲者には家畜の例もある。
ニワトリや牛は進化の上では成功者である。しかし、これまで生きた動植物のうち、
極端なまでに個々は惨めである。
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農耕民からは次第に支配者やエリート層が生まれる。
これまでの数々の歴史書は大概彼らのものだ。
そういった意味でも、この本はその他大多数の人々の事、一連の流れがよく分かる貴重な本だ。
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支配者層が、集団をまとめるために作ったのが、
【想像上の秩序】だ。これにはヒエラルキーや差別も含まれる。
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それらの秩序を、維持・保存・伝達するために生まれたのが【書記体系】の発明。(シュメール人)
*シュメール人は同時期に人類最初の貨幣なる(大麦貨幣)を発明しているのだからとても優秀だったのだろう。
↓
この【想像上の秩序】と【書記体系】の2つの発明が、人類が大規模なネットワークを維持した大きな発明である。
差別の話題の部分では、たいていの社会的政治的ヒエラルキーは、
論理的かつ生物学的基盤を欠いており、偶然の出来事を神話で支え永続させてきたものに他ならない。
その事実を知るということが、歴史を学ぶ重要な理由の一つである。